「スポーツ用のマウスガードは、市販のものでもよいの?」
「歯科医院で作るマウスガードは、何が違うのだろう?」
スポーツ用マウスガードには、スポーツ用品店やインターネットなどで購入できる市販品と、歯科医院で歯型などをもとに作るカスタムメイドのものがあります。
どちらもスポーツ中に歯や口の周囲を守るために使用するものですが、作り方やフィット感、保持力、調整のしやすさなどには違いがあります。
特に、接触や転倒の可能性があるスポーツを継続して行う場合には、歯並びや噛み合わせに合わせて作ることができる歯科医院のマウスガードがおすすめです。
この記事では、市販のマウスガードと歯科医院で作るマウスガードの違いについて解説します。
1.スポーツ用マウスガードにはどんな種類がある?
スポーツ用マウスガードは、大きく分けると次のような種類があります。
- 形があらかじめ決まっている既製タイプ
- お湯で軟らかくして自分で歯に合わせるタイプ
- 歯科医院で歯型などをもとに作るカスタムメイドタイプ
市販品の中でも比較的よく使われているのが、お湯で軟らかくして自分の歯に合わせる「ボイル&バイト」と呼ばれるタイプです。
購入しやすく、比較的手軽に使用できるという特徴があります。
一方、歯科医院で作るマウスガードは、歯型を取ったり口腔内をスキャンしたりして、患者さんの歯並びに合わせて一つずつ作製します。
スポーツ用マウスガードは、一般的には上顎の熾烈に装着します。競技や歯並び、噛み合わせなどによって設計は異なりますが、多くの場合は上の歯を覆う形で作られます。
同じ「スポーツ用マウスガード」でも、作製方法には大きな違いがあります。
2.市販のマウスガードの特徴
市販のマウスガードの大きな特徴は、手軽に購入できることです。
スポーツ用品店やインターネットなどで購入でき、歯科医院を受診しなくても準備できます。
市販品には、主に次のようなメリットがあります。
- 比較的費用を抑えやすい
- 購入しやすい
- 短期間で準備できる
- 自宅で成形できる製品がある
一方で、市販品は一人ひとりの歯並びに合わせて最初から設計されているわけではありません。
そのため、製品や歯並び、成形の仕方によっては、
- 口を開けると外れる
- 装着中に動く
- 強く噛んでいないと保持できない
- 一部だけ強く当たる
- 厚みが気になる
- 話しにくい
といったことがあります。
特に、自分で成形するタイプは、成形方法によって適合状態が変わります。
うまく歯に合わせられなかった場合、そのまま使用するよりも、作り直したり歯科医院に相談したりすることが大切です。
3.歯科医院で作るマウスガードとは?
歯科医院では、歯並びや噛み合わせ、口の中の状態を確認したうえで、患者さんに合わせたスポーツ用マウスガードを作製できます。
一般的には、
- 歯や歯ぐき、歯並び、噛み合わせを確認する
- 歯型を取る、または口腔内をスキャンする
- 歯列に合わせてマウスガードを作製する
- 装着後にフィットや噛み合わせを確認・調整する
という流れで作ります。
市販品との大きな違いは、「歯並びに合ったものを作る」だけではなく、完成後に歯科医師が装着状態を確認できることです。
痛い部分や外れやすい部分があれば、その状態を確認しながら調整できます。
4.市販品と歯科医院で作るマウスガードの違い
市販品と歯科医院で作るマウスガードを比較すると、次のような違いがあります。
| 市販のマウスガード | 歯科医院で作るマウスガード | |
|---|---|---|
| 作り方 | 既製品または自分で成形 | 歯型などをもとに個別に作製 |
| 歯並びへの適合 | 製品や成形状態による | 歯列に合わせて作製できる |
| 保持 | 合わないと外れやすいことがある | 歯列に合わせて保持を調整できる |
| 厚み・形 | 基本的に製品ごとに決まっている | 状態や競技に応じて調整できる場合がある |
| 噛み合わせ | 自分での確認が中心 | 歯科医院で確認・調整できる |
| 痛み・違和感 | 自分で対応することが多い | 歯科医院で調整を相談できる |
| 費用 | 比較的安い | 市販品より高くなることが多い |
| 手軽さ | 購入しやすい | 受診や作製期間が必要 |
市販品にも手軽さという利点があります。
ただし、スポーツ中に使用するものだからこそ、価格だけでなく、適合や保持についても考える必要があります。
5.マウスガードはフィットして外れにくいことが重要
スポーツ用マウスガードは、ただ歯を覆っていればよいわけではありません。
重要なのは、口の中で安定して装着できることです。
例えば、口を開けるたびにマウスガードが外れてしまうと、競技中に何度も位置を戻さなければなりません。
また、外れないように常に強く噛み続ける必要がある状態も、適切にフィットしているとは言いにくいでしょう。
マウスガードは、
- 口を開けても簡単には外れない
- 強く噛み続けなくても保持できる
- 一部だけ強く当たらない
- 痛みがない
- 呼吸や会話を過度に妨げない
といった点も重要です。
歯科医院で作るマウスガードは、実際の歯列に合わせて作製できるため、フィットや保持を確認しながら調整できます。
6.噛み合わせを確認できることも大きな違い
歯科医院で作製するメリットの一つが、装着した状態で噛み合わせを確認できることです。
マウスガードを入れると、上下の歯の間に一定の厚みが加わります。
その状態で一部分だけが強く当たっていたり、左右で噛み方が大きく異なっていたりする場合には、必要に応じて調整します。
また、スポーツ用マウスガードは、単純に厚くすればよいというものでもありません。
競技内容や口の中の状態などを考えながら、必要な部分の厚みを確保しつつ、装着感とのバランスを考えることが重要です。
さらに、マウスガード装着時の噛み合わせは、競技中の噛みしめや顎の安定にも関係します。
一部の研究では、適切に調整されたマウスガードが、筋力や瞬発力などのスポーツパフォーマンスに影響する可能性も報告されています。
ただし、マウスガードを装着すれば必ずパフォーマンスが向上するというわけではなく、現時点では研究結果にばらつきがあります。
そのため、パフォーマンス向上を目的として噛み合わせを変えるというよりも、競技中に違和感なく噛めて、動きを妨げにくい状態に調整することが大切です。
歯科医院では、マウスガードそのものだけでなく、歯並びや噛み合わせを含めて確認できるという違いがあります。
7.本格的にスポーツをするなら歯科医院での作製がおすすめ
市販品は、購入しやすく、比較的安価に使用できることがメリットです。
そのため、市販品そのものが使用できないわけではありません。
しかし、
- ラグビーや格闘技など接触の多いスポーツをしている
- 部活動や競技として継続的にスポーツをしている
- ボールや用具が顔に当たる可能性がある
- 過去に歯や口をけがしたことがある
- 市販品が外れやすい
- 市販品では痛みや違和感がある
- できるだけ自分の歯並びに合ったものを使いたい
という場合には、歯科医院でカスタムメイドのマウスガードを作ることをおすすめします。
特に競技中は、マウスガードの位置を何度も直すことは難しいため、安定して装着できることが重要です。
継続してスポーツをするのであれば、「とりあえず口に入るもの」ではなく、自分の口に合ったものを選ぶことが大切です。
8.子どもや矯正治療中は歯科医院で相談を
子ど子どもでは、歯の生え替わりや顎の成長によって、歯並びや口の中の状態が変化します。
また、矯正治療中は歯が移動するほか、ブラケットやワイヤーなどの矯正装置が付いている場合があります。
そのため、一般的なマウスガードが適さないこともあります。子どもや矯正治療中の場合は、歯科医師や矯正歯科医に相談したうえで選ぶことをおすすめします。
9.歯ぎしり用のマウスピースとは別のもの
歯科医院では、歯ぎしりや食いしばりに対して「ナイトガード」と呼ばれるマウスピースを作ることがあります。
見た目が似ているため、
「歯ぎしり用のマウスピースをスポーツでも使えるのでは?」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、スポーツ用マウスガードと歯ぎしり用のマウスピースでは、使用する目的や設計が異なります。
スポーツ用マウスガードは、スポーツ中に歯や口の周囲へ加わる衝撃を和らげることを目的として作られています。
そのため、歯ぎしり用のマウスピースをスポーツ用として代用するのは避けましょう。
10.まとめ
スポーツ用マウスガードには、市販されているものと、歯科医院で作るカスタムメイドのものがあります。
市販品には、手軽に購入でき、比較的費用を抑えやすいというメリットがあります。
一方、歯科医院では、歯型などをもとに一人ひとりの歯列に合わせて作製し、完成後のフィットや噛み合わせについても確認できます。
特に、
- スポーツを継続的に行っている
- 接触や転倒の多い競技をしている
- 市販品が外れたり痛かったりする
- フィットするマウスガードを使いたい
という場合には、歯科医院でスポーツ用マウスガードについて相談することをおすすめします。
マウスガードは、持っているだけではなく、競技中に正しく装着して使うことが重要です。
自分の歯や口の状態に合ったマウスガードを選び、安全にスポーツを楽しみましょう。
※本記事は一般的な歯科情報の提供を目的としたものであり、特定の症状に対する診断や治療方針を示すものではありません。実際の治療については、歯科医師による診察・検査を受けたうえでご相談ください。
