「歯医者に行ったら、すぐに歯を削られるのではないか」
「初めて受診するときは、何を準備すればよいのだろう」
歯科医院を受診する前に、このような不安を感じる方もいるかもしれません。
歯科医院では、症状を聞いてすぐに治療を始めるとは限りません。まずは問診やお口の診察を行い、必要に応じてレントゲン撮影などの検査をしたうえで、症状の原因や治療方法を検討します。
強い痛みや腫れがある場合には、初診当日に応急処置を行うこともありますが、詳しい検査や本格的な治療は別の日に行う場合もあります。
この記事では、歯科医院を初めて受診したときに行われることを、受付から診察、治療までの一般的な流れに沿って説明します。
歯科医院を受診するときに持参するとよいもの
歯科医院を受診するときは、次のようなものを持参するとよいでしょう。
- マイナ保険証または健康保険証
- 診察券
- お薬手帳
- 各種医療証
- 紹介状やレントゲン写真、検査結果(持っている場合)
- 使用している入れ歯やマウスピース
- 取れてしまった詰め物や被せ物、仮歯
持病がある方や薬を服用している方は、お薬手帳や薬の名前が分かるものを持参しましょう。薬の種類によっては、歯科治療の方法や処方する薬に影響することがあります。
ほかの歯科医院や病院から紹介状、レントゲン写真、検査結果などを受け取っている場合も、忘れずに持参してください。
詰め物や被せ物、仮歯が取れた場合は、捨てずに保管し、受診時に持参しましょう。
取れたものや歯の状態によっては、そのまま付け直せる場合があります。仮歯も、状態がよければ再び使用できることがあります。
ただし、市販の接着剤などを使って自分で戻すことは避けてください。接着剤が歯や詰め物に残ると、付け直しが難しくなる場合があります。
1.受付をする
歯科医院に到着したら、最初に受付を行います。
初めて受診する場合は、マイナ保険証や健康保険証、各種医療証などを提示します。
受付後に問診票を記入するのが一般的ですが、歯科医院によっては、受診前にウェブ上で問診票を入力できる場合もあります。
初診時は受付や問診票の記入に時間がかかることがあるため、予約時間より少し早めに到着しておくと安心です。
2.問診票を記入する
問診票では、主に次のような内容を確認します。
- 現在気になっている症状
- 症状が始まった時期
- これまでに受けた歯科治療
- 持病や過去にかかった病気
- 現在服用している薬
- 薬や麻酔に対するアレルギー
- 妊娠の有無
- 治療に対する希望や不安
持病や服用中の薬は、歯科治療の方法や安全性に影響することがあります。
例えば、血液を固まりにくくする薬を服用している場合や、骨粗しょう症の治療薬を使用している場合は、抜歯などの処置を行う際に注意が必要になることがあります。
また、高血圧や糖尿病、心臓病などの持病も、治療内容や使用する薬を検討するうえで大切な情報です。
安全に治療を受けるためにも、医科から処方されている薬を含め、服用中の薬や持病については、できるだけ正確に伝えましょう。
3.症状や治療の希望を伝える
診療室では、歯科医師や歯科衛生士が、現在困っている症状について詳しく確認します。
例えば、同じ「歯が痛い」という症状でも、次のような情報によって考えられる原因が変わります。
- いつから痛いのか
- 何もしなくても痛いのか
- 噛んだときに痛いのか
- 冷たいものや熱いもので痛むのか
- 痛みが長く続くのか、すぐに治まるのか
- 夜間や横になったときに痛みが強くなるのか
- 痛み止めを飲むと症状が軽くなるのか
症状が出る場所やタイミングをできるだけ具体的に伝えることで、原因を判断する手がかりになります。
うまく整理して伝えられなくても、診察時に歯科医師や歯科衛生士から質問されるのが一般的です。分かる範囲で答えれば問題ありません。
また、治療について希望がある場合も、診察の際に伝えましょう。
例えば、次のような希望が考えられます。
- まずは痛いところを治してほしい
- 痛い部分だけでなく、お口全体を確認してほしい
- できるだけ歯を残したい
- 治療期間や費用を事前に知りたい
- 痛みに配慮しながら治療してほしい
- 保険診療と自費診療の違いを知りたい
患者さんによって、希望する治療の進め方は異なります。
歯科治療に対する不安や、過去の治療でつらかった経験がある場合も、あらかじめ相談しておくことが大切です。
4.お口の中を診察する
問診の後は、歯科医師がお口の中を診察します。
小さな鏡や器具を使いながら、歯や歯ぐきだけでなく、舌や頬の内側、噛み合わせなども確認します。
主に確認する内容は、次のようなものです。
- むし歯の有無
- 詰め物や被せ物の状態
- 歯の欠けやひび
- 歯ぐきの腫れや出血
- 歯垢や歯石の付着
- 歯のぐらつき
- 噛み合わせ
- 入れ歯の状態
- お口の中のできもの
- 舌や頬などの粘膜の異常
痛みがある部分を中心に確認する場合もあれば、お口全体を診察する場合もあります。
見た目だけでは判断できない部分については、必要に応じてさらに詳しい検査を行います。
5.必要な検査を行う
症状やお口の状態によっては、レントゲン撮影や歯周病の検査などを行います。
すべての患者さんに同じ検査を行うわけではありません。問診や診察の結果をもとに、必要な検査が選ばれます。
レントゲン撮影
レントゲン写真では、目で見ただけでは分からない歯や顎の骨の状態を確認できます。
例えば、次のような部分を調べるために使用します。
- 歯と歯の間のむし歯
- むし歯の深さ
- 歯の根の状態
- 歯を支える骨の状態
- 親知らずの位置や向き
- 過去に行った根の治療の状態
- 顎の骨の中にある病変
撮影する範囲によって、数本の歯を詳しく確認する小さなレントゲンや、お口全体を一枚で撮影するレントゲンなどがあります。
より詳しい確認が必要な場合には、歯や顎の骨を立体的に確認できるCT撮影を行うこともあります。
歯周病の検査
歯周病の検査では、細い器具を使って、歯と歯ぐきの間にある溝の深さを測ります。
この溝は「歯周ポケット」と呼ばれ、歯周病が進行すると深くなることがあります。
検査では、歯周ポケットの深さだけでなく、次のような点も確認します。
- 検査時の出血の有無
- 歯のぐらつき
- 歯垢や歯石の付着状況
- 歯ぐきの腫れや赤み
これらの結果を組み合わせて、歯周病の状態や進行度を判断します。
歯の神経の検査
症状によっては、歯を軽くたたいたり、冷たい刺激を加えたりして、歯の神経の状態を確認することがあります。
どの歯が痛みの原因なのか分かりにくい場合や、歯の神経が刺激に反応しているかを調べる場合に行われます。
症状のある歯だけでなく、周囲の歯と反応を比較しながら判断することもあります。
お口の写真や歯型の記録
治療内容によっては、お口の中の写真を撮影したり、歯型を取ったり、口腔内スキャナーで歯の形を記録したりすることがあります。
これらは、治療前の状態を記録したり、噛み合わせや歯並びを確認したり、詰め物や被せ物、入れ歯などを製作したりするために使用されます。
6.検査結果と治療方法について説明を受ける
問診や診察、検査の結果をもとに、歯科医師が症状の原因やお口の状態について説明します。
その後、どのような治療が必要なのか、治療方法にはどのような選択肢があるのかについて説明を受けます。
説明を受ける際には、次のような点を確認するとよいでしょう。
- 現在どのような状態なのか
- 症状の原因として何が考えられるのか
- なぜ治療が必要なのか
- どのような治療方法があるのか
- それぞれの治療方法の利点と欠点
- 治療にかかる期間や通院回数
- 処置中や処置後に痛みが出る可能性
- 治療費の目安
- 治療をしなかった場合にどうなる可能性があるのか
同じ症状であっても、お口の状態や患者さんの希望によって、適した治療方法は異なります。
分からない言葉がある場合や、不安が残っている場合は、遠慮せずに質問しましょう。
治療内容について理解し、納得したうえで治療を受けることが大切です。
7.必要に応じて治療や応急処置を行う
診察や検査の後、その日のうちに治療を行う場合もあれば、別の日から本格的な治療を始める場合もあります。
特に強い痛みや腫れがある場合は、まず症状を和らげるための応急処置を行うことがあります。
例えば、次のような処置です。
- 痛みの原因となっている部分の洗浄や消毒
- 歯の神経に対する処置
- たまっている膿を出す処置
- 取れた詰め物や被せ物の仮の修復
- 欠けて尖った歯を整える処置
- 噛み合わせの調整
- 痛み止めや抗菌薬の処方
ただし、抗菌薬はすべての歯の痛みに使用するものではありません。腫れや感染の広がりなどを確認したうえで、必要と判断された場合に処方されます。
応急処置は、痛みや腫れを一時的に和らげるために行う処置です。
症状が落ち着いても、原因そのものが解決していないことがあります。そのため、歯科医師の指示に従い、その後の治療を続けることが大切です。
8.会計と次回の予約をする
診察や処置が終わったら、受付で会計を行います。
継続して治療が必要な場合は、次回の予約を取ります。
治療後には、次のような説明を受けることがあります。
- 麻酔が切れるまでの注意点
- 食事をしてよい時間
- 治療した部分の磨き方
- 処方された薬の飲み方
- 痛みや腫れが出た場合の対応
- 次回行う予定の治療
麻酔を使用した場合は、感覚が戻るまで頬や舌をかんだり、熱いものでやけどをしたりしないよう注意が必要です。
治療後の過ごし方について不明な点がある場合は、帰宅する前に確認しておきましょう。
初診当日にすべての治療が終わるとは限らない
歯科治療では、初診当日にすべての治療が終わるとは限りません。
症状の原因を調べるために詳しい検査が必要な場合や、複数の歯に治療が必要な場合は、治療計画を立てて数回に分けて進めます。
また、詰め物や被せ物、入れ歯などを作る場合は、歯型を取った後に製作期間が必要になるため、複数回の通院が必要です。
根の治療や歯周病治療なども、お口の状態を確認しながら段階的に進めるため、通院回数が多くなることがあります。
通院回数や治療期間は、むし歯の大きさ、歯周病の進行度、治療する歯の本数、治療内容などによって異なります。
治療期間や通院回数が気になる場合は、初診時に目安を確認しておくとよいでしょう。
歯科医院によって受診の流れは異なる
この記事で紹介したのは、歯科医院を受診した際の一般的な流れです。
実際には、歯科医院の診療方針や設備、症状の緊急性、予約内容などによって、検査や治療の順序が異なることがあります。
痛みが強い場合は応急処置を優先することがあり、定期検診では歯周病の検査やクリーニングを中心に行う場合があります。
受診当日の流れや費用、所要時間について気になる場合は、予約時に歯科医院へ確認しておくと安心です。
まとめ
歯科医院では、患者さんの症状を聞いてすぐに治療を始めるのではなく、まず問診やお口の診察を行い、必要に応じてレントゲン撮影などの検査を行います。
そのうえで、症状の原因やお口の状態について説明し、患者さんの希望も確認しながら治療方法を決めていきます。
強い痛みや腫れがある場合は、初診当日に応急処置を行うこともありますが、症状が落ち着いた後に、原因に対する治療が必要になる場合があります。
また、初診当日にすべての治療が終わるとは限りません。お口の状態や治療内容によっては、複数回の通院が必要です。
治療に対する不安や希望、服用している薬や持病などがある場合は、診察の際に歯科医師や歯科衛生士へ伝えましょう。
※本記事は一般的な歯科情報の提供を目的としたものであり、特定の症状に対する診断や治療方針を示すものではありません。実際の治療については、歯科医師による診察・検査を受けたうえでご相談ください。

