「スポーツをするとき、マウスガードは必要なの?」
「マウスガードは歯医者で作ったほうがいいの?」
スポーツ中には、選手同士の接触や転倒、ボール・用具との衝突などによって、歯や口の中をケガすることがあります。
そのようなスポーツ中の衝撃から歯や口を守るために使用するのが、スポーツ用マウスガードです。
ボクシングなどでは「マウスピース」と呼ばれることもありますが、スポーツ歯科では一般的に「マウスガード」と呼ばれます。
この記事では、スポーツ用マウスガードとはどのようなものなのか、その効果や必要性、使用を検討したいスポーツ、歯科医院で作製するメリットについて解説します。
1.スポーツ用マウスガードとは?
スポーツ用マウスガードとは、スポーツ中に歯や口の周囲へ加わる衝撃を和らげるために、口の中に装着する保護装置です。
一般的には上の歯を覆うように装着し、弾力のある材料で作られています。
スポーツでは、転倒したり、人とぶつかったり、ボールや用具が顔に当たったりすることがあります。
その際、歯や顎に強い力が加わると、次のような外傷につながることがあります。
- 歯が欠ける
- 歯が折れる
- 歯が抜ける
- 歯がぐらつく
- 唇や頬、舌を傷つける
- 顎の骨を損傷する
マウスガードは、こうした衝撃を受けたときにクッションのような役割を果たし、歯や口の周囲に加わる力を和らげます。
また、コンタクトスポーツでは、接触した際に自分の歯が相手の顔や体に当たり、相手を傷つけてしまうこともあります。
マウスガードで歯を覆うことは、自分自身の歯や口を守るだけでなく、接触した相手に外傷を与えるリスクを減らすことにもつながります。
つまり、スポーツ用マウスガードは、自分と相手の双方の安全を考えるうえで重要な保護装置の一つです。
日本歯科医師会でも、スポーツ外傷の予防を目的としたカスタムメイドマウスガードの製作・調整を、スポーツデンティストの役割の一つとして挙げています。
2.スポーツ用マウスガードにはどんな効果がある?
スポーツ用マウスガードの主な目的は、スポーツによる歯や口の外傷を防ぐことです。
歯への衝撃を和らげる
顔や顎に衝撃を受けたとき、マウスガードがクッションのような役割を果たし、歯に加わる力を和らげます。
これによって、歯が折れたり、抜けたり、ぐらついたりする外傷のリスクを減らすことが期待できます。
唇や頬などのケガを防ぐ
スポーツ中に顔へ衝撃を受けると、唇や頬の内側が歯に強く当たり、切れてしまうことがあります。
マウスガードで歯を覆うことで、歯と唇・頬との間を保護し、口の中の外傷を軽減することにつながります。
歯同士が強くぶつかるのを防ぐ
転倒や衝突の瞬間には、上下の歯が強くぶつかることがあります。
マウスガードを介在させることで、上下の歯が直接強く接触するのを防ぎ、歯に加わる衝撃を和らげます。
ただし、マウスガードを装着すれば、スポーツ中のケガを完全に防げるわけではありません。
ヘルメットやフェイスガードなど、競技に応じたほかの防具とあわせて使用することが大切です。
3.スポーツ用マウスガードは本当に必要?
「格闘技をしているわけではないから必要ない」と考える方もいるかもしれません。
しかし、歯や口のケガは格闘技だけで起こるわけではありません。
例えば、次のような特徴があるスポーツでも、歯や口をケガする可能性があります。
- 選手同士の接触がある
- 転倒する可能性がある
- ボールが顔に当たる可能性がある
- ラケットやバットなどの用具を使用する
- 高速で移動する
特に永久歯を大きく損傷した場合、歯の状態によっては長期間にわたって治療や経過観察が必要になることがあります。
また、歯が抜けたり大きく欠けたりすると、元の状態に完全に戻すことが難しい場合もあります。
そのため、歯や口に強い衝撃が加わる可能性があるスポーツでは、マウスガードの使用を検討することが大切です。
4.どんなスポーツでマウスガードを使う?
マウスガードは、特に身体接触や転倒、ボールや用具との衝突が起こりやすいスポーツで使用されます。
代表的なスポーツを、大きく分けると次のようになります。
接触・格闘系
- ボクシング
- キックボクシング
- 空手
- 柔道
- レスリング
- ラグビー
- アメリカンフットボール
- アイスホッケー
- ラクロス
球技系
- バスケットボール
- サッカー
- 野球
- ソフトボール
- ハンドボール
ウインタースポーツ・その他
- スキー
- スノーボード
- スケートボード
このほかにも、競技中に人や物と接触したり、転倒したりする可能性があるスポーツでは、マウスガードの使用を検討できます。
日本歯科医師会も、コンタクトスポーツだけでなく、球技やスキーなどでも歯や口を守るためのマウスガードの使用を案内しています。
なお、マウスガードの装着が義務付けられているかどうかは、競技、年齢、所属団体、大会などによって異なります。
大会へ出場する場合は、所属する競技団体の最新ルールを確認してください。
5.スポーツ用マウスガードにはどんな種類がある?
スポーツ用マウスガードには、市販されているものと、歯科医院で一人ひとりの歯に合わせて作るカスタムメイドのものがあります。
市販のマウスガード
市販のマウスガードには、お湯で軟らかくして、自分で歯に合わせて成形するタイプなどがあります。
手軽に購入できる一方で、自分で成形するため、歯並びや噛み合わせに十分適合しないことがあります。
適合が不十分な場合には、次のような問題が生じることがあります。
- 外れやすい
- 話しにくい
- 呼吸しにくい
- 違和感が大きい
- 必要な部分に十分な厚みを確保しにくい
また、成形の仕方によっては、厚みや形にばらつきが生じることもあります。
歯科医院で作るカスタムメイドマウスガード
歯科医院では、歯並びや噛み合わせを確認し、一人ひとりの口に合わせてマウスガードを作製します。
歯の形に合わせて作るため適合しやすく、必要な部分に厚みを確保しながら、装着感や噛み合わせを調整できることが特徴です。
また、使用するスポーツや競技内容に応じて、形や厚みなどを考慮して作製することもできます。
マウスガードは、単に「歯を覆えばよい」というものではありません。
外傷から歯や口を守るためには、歯への適合、厚み、噛み合わせなどを適切に調整することが重要です。
そのため、スポーツ用マウスガードを使用する場合は、まず歯科医院で相談するとよいでしょう。
6.スポーツ用マウスガードは歯科医院で作るのがおすすめ
スポーツ用マウスガードを継続して使用するのであれば、歯科医院で作製するカスタムメイドマウスガードがおすすめです。
市販品は手軽に購入できますが、自分の歯並びや噛み合わせに十分合っているとは限りません。
一方、歯科医院では、次のような点を確認しながらマウスガードを作製できます。
- 歯並び
- 噛み合わせ
- 歯や歯ぐきの状態
- 使用するスポーツ
- 必要な厚み
- 装着時の違和感
また、歯の型や口腔内スキャンなどをもとに作製するため、歯に適合しやすいことも特徴です。
特に重要なのが、噛み合わせの調整です。
マウスガードを装着したときの噛み合わせが適切でないと、噛みにくさや顎の違和感が生じることがあります。
スポーツ中は、走る、跳ぶ、相手と接触するなどの動作を繰り返すため、口の中に強い違和感があると、集中しにくくなったり、競技中の動作に影響したりする可能性もあります。
そのため、単に歯に合っているだけでなく、装着した状態で噛み合わせまで確認し、必要に応じて調整することが大切です。
適合のよいマウスガードは、装着している間に外れにくく、違和感や会話、呼吸への影響を抑えやすくなります。
特に、次のような場合には歯科医院での作製をおすすめします。
- コンタクトスポーツをしている
- 競技中に激しい接触がある
- ボールや用具が顔に当たる可能性がある
- 市販品では外れやすい
- 市販品の違和感が強い
- 呼吸や会話がしにくい
- 矯正治療中である
- 成長期で歯並びが変化している
なお、矯正治療中の場合は、歯が移動してマウスガードが合わなくなることもあるため、自己判断で市販品を使用せず、矯正治療を担当している歯科医師に相談することが大切です。
7.マウスガードは一度作ればずっと使える?
マウスガードは、一度作れば永久に使えるものではありません。
使用しているうちに材料が摩耗したり、変形したりすることがあります。
また、次のような場合には、マウスガードが合わなくなることがあります。
- 成長によって歯並びや顎の状態が変化した
- むし歯の治療をした
- 詰め物や被せ物を入れた
- 歯を抜いた
- 矯正治療によって歯が動いた
- マウスガードが変形した
- マウスガードが破れたり、大きくすり減ったりした
合わなくなったマウスガードをそのまま使い続けるのではなく、必要に応じて歯科医院で適合や噛み合わせを確認してもらいましょう。
状態によっては、調整や作り直しが必要になります。
8.普通のマウスピースとは違う?
歯科医院では、スポーツ用マウスガード以外にも、歯ぎしりや食いしばりなどに対してマウスピースを使用することがあります。
見た目は似ていますが、使用する目的や設計は異なります。
スポーツ用マウスガードは、スポーツ中に受ける衝撃から歯や口を守ることを目的として作られています。
そのため、衝撃を受け止めて力を分散できるように、ある程度の厚みを確保し、弾力のある材料を使用して作られています。
一方、歯ぎしりや食いしばりに使用するマウスピースは、睡眠中などに歯に加わる力から歯を守ることなどを目的としています。
そのため、歯ぎしり用のマウスピースを、スポーツ用マウスガードの代わりとして使用することはおすすめできません。
スポーツをするときは、スポーツ用として作られたマウスガードを使用しましょう。
9.マウスガードを作りたいときは歯医者に相談できる?
スポーツ用マウスガードは、取り扱っている歯科医院で相談できます。
歯科医院では、一般的に次のような流れで作製します。
- むし歯や歯周病などがないか確認する
- 歯並びや噛み合わせを確認する
- 使用しているスポーツや競技内容を確認する
- 歯型を採る、または口腔内スキャンなどで歯の形を記録する
- マウスガードを作製する
- 装着後に適合や噛み合わせを調整する
使用するスポーツによって、必要とされる形や厚みが異なることもあります。
そのため、相談するときは、行っている競技や使用する場面を歯科医師に伝えるとよいでしょう。
また、むし歯や歯周病などの治療が必要な場合には、先に治療を行ってからマウスガードを作製することもあります。
ただし、すべての歯科医院でスポーツ用マウスガードを取り扱っているとは限りません。
作製を希望する場合は、あらかじめ歯科医院へ確認するとよいでしょう。
10.まとめ
スポーツ用マウスガードは、スポーツ中の衝突や転倒などによる衝撃から、歯や口を守るために使用する保護装置です。
格闘技やラグビーだけでなく、球技やウインタースポーツなど、歯や口をケガする可能性があるスポーツは幅広くあります。
特に、次のような競技では、マウスガードの使用を検討するとよいでしょう。
- 選手同士の接触がある
- 転倒する可能性がある
- ボールや用具が顔に当たる可能性がある
- 高速で移動する
スポーツ用マウスガードには市販品もありますが、歯並びや噛み合わせへの適合、必要な厚み、装着感などを考えると、
継続して使用する場合には、できるだけ歯科医院で作製するカスタムメイドマウスガードがおすすめです。
スポーツをしていて歯のケガが心配な方や、マウスガードの使用を検討している方は、取り扱いのある歯科医院で相談してみてください。
※このノートは、スポーツ用マウスガードについて理解を深めるための一般的な情報をまとめたものです。マウスガードの使用方法や装着に関する規則は、競技や所属団体によって異なります。実際に使用する際は、競技団体の規則を確認し、必要に応じて歯科医院でご相談ください。